みなさんこんにちは!小説などのレビューを行っている旅狼のレビュー小屋です!
前回の『不思議の国のアリス』に続き、今回は『鏡の国のアリス』のブックレビューをお届けします!
英語の原題で書くと“Through the Looking-Glass, and What Alice Found There”となる作品。イギリス・アメリカのみならず、日本でも数々の作品に影響を与え、引用も多い名作中の名作。『アリス・イン・ワンダーランド』や『アナザーワールド 鏡の国のアリス』といった映画でも映像化されています。
そんなルイス・キャロルの名作『鏡の国のアリス』について、あらすじや感想、登場人物や言葉遊びから考えられる考察をここではお話しています! 読み終えた方はもちろん、これから読もうという方もぜひ参考にしてみてください!
『鏡の国のアリス』 あらすじ
ある雪の日、アリスはネコのキティと暖炉の前でごっこ遊びなんかをしながらお話ししていました(もちろん、アリスが一方的に話しかけているだけですよ)。
アリスはキティに向けて「すぐにいい子にならないと、鏡のおうちに入れちゃうぞ。」と話しかけます。そう言いつつ、いつの間にか自分は暖炉の飾り棚に登り、大きな鏡を覗き込んでいました。すると鏡は、みるみる”光る銀のもや”のようになっていき、なんとアリスは鏡の”向こう側”へ入ってしまったのです!
こちらの部屋は、アリスの家よりもより”いきいき”しているように見えたアリス。ただちょっとばかり散らかっているのが気になり、暖炉の灰の中に埋もれているチェスの駒を見てみると…!
『鏡の国のアリス』 感想
おもしろさ:純粋に、このストーリーを楽しめるか
正直にいうと、『不思議の国のアリス』に比べると『鏡の国のアリス』のおもしろさは少々劣るかなという印象でした。
「2作目が1作目を超えるのは難しい」というジンクスは、ルイス・キャロルにも当てはまるようですね。。
テンポ・読みやすさ:言葉遣いや表現方法など、文章として読みやすいかどうか
安定の読みやすさ! 理由としては、『不思議の国のアリス』とほぼ同じ!笑
作者のキャロルが知人の娘さん「アリス・リデル」のために即興でつくって聞かせた物語が『不思議の国のアリス』のもとになっています。そのため、非常にわかりやすい文章構成と言葉遣いが特徴の一つなのです。そのスタイルを『鏡の国のアリス』もしっかりと踏襲しています。
とても軽快なテンポで進んでいきますし、途中に挿絵が入っているのも物語をイメージしやすくするために一役買っていますよ!
世界観:設定や舞台背景、ストーリーの仕掛けの斬新さなどを評価
「穴の中の不思議の国」に続くのは「鏡の中の世界」。より日常に身近にあるものから不思議な世界へ迷い込んでいくという設定が、さらにワクワクを引き立ててくれますよね!
また、『鏡の国のアリス』は「チェスボード」を意識して描かれているのが特徴です。鏡の中の世界をチェスボードに見立て、アリスをはじめとする登場人物たちはチェスの駒の動き方のルールに従い、行動していきます。
正直、キャラクターたちの動きは後書きを読んでもいまいちよくわからなかったのですが(笑)、、そもそも「世界がチェスボード」という設定で描かれているというのがとてもおもしろいですし、何より、作者ルイス・キャロルの発想力には本当に驚かされっぱなしです…!
チェスが好きな方や得意な方は、物語を読みながら盤面を想像できるのではないでしょうか!
キャラクター:登場人物の魅力
『不思議の国のアリス』同様、英語圏の民話・童話・詩の引用が多いのが印象的でした。特に『鏡の国のアリス』では、ハンプティ・ダンプティやトゥイードルダムとトゥイードルディといった『マザー・グース(Mother Goose)』に由来するキャラクターが登場するのが特徴です。
ただ、これらマザー・グースやナーサリー・ライムと呼ばれるお話を知らないと、ちょっと親しみにくいかなと感じました。
日本のお話に例えるなら、桃太郎や浦島太郎、かぐや姫などの昔話のキャラが登場し、彼らの個性はそのままに物語に絡ませたり、それらのお話を引用したりしているといったかんじですね。
知らなくても楽しめるけれど、当然、知っていた方がより物語を楽しめるし、親しみ深くなるのは間違いないでしょう。
ストーリーの理解のしやすさ:本に書かれた世界をイメージしやすいか、ストーリーを理解しやすいか
上述のように、『鏡の国のアリス』におけるアリスたちは、チェスのルールのもとに動いています。そのため結構、突拍子もない動きや場面変化が起こります。笑
こちらも『不思議の国のアリス』ほどわかりやすくはなかったですし、”物語として”どこを目指していたのかが、ちょっと感じられにくいお話だったと思います。
感じるもの:物語でありながらメッセージ性や読み手が得るものがあれば評価
『鏡の国のアリス』は“物語の目的地”がわからなかったと同時に、“読者へ与えたいもの”みたいなものも感じにくかったです。
『不思議の国のアリス』同様、最後の”オチ”からは得られるものはあるのですが、そこに至る過程での楽しみは薄めかなという印象は否めません。
もちろんここで書いているのはあくまで”僕の”主観です。人によっては『鏡の国のアリス』からたくさんのことを感じられるかもしれませんよ!
『鏡の国のアリス』 考察
『鏡の国のアリス』は、もともとが子供向けの即興作品である『不思議の国のアリス』とは違い、明確に”物語を創ろう”として書かれた物語です。それゆえのチェスボードの設定だろうし、マザー・グースや詩、民謡の引用や言葉遊びも、それぞれが少し長めです。
ゆえに、“元ネタ”がわかる人からすると、とても親しみ深く、おもしろい作品なんだろうと思います。
対して、僕のように”元ネタ”を知らないで読むと、『不思議の国のアリス』にあった”軽やかな楽しさ”というものは感じられないと思います。
ある意味、自身の英語圏の文化の理解度を試されているとも言えるのが『鏡の国のアリス』かもしれませんね!笑
『鏡の国のアリス』 作品概要
【題名】
鏡の国のアリス(Through the Looking-Glass, and What Alice Found There)
(原題の直訳がだいぶ違くてびっくり!)
【作者】
ルイス・キャロル(Lewis Carroll)
【作品ジャンル】
児童小説
【出版】
角川文庫など
👆『鏡の国』を読む前に『不思議の国のアリス』を読むのをオススメします!👆
『鏡の国のアリス』 まとめ
ということで今回は、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』について書いてきました!
題名くらいなら世界中の多くの人が知っているであろう名作中の名作。引用されている他作品やパロディも多く存在しているので、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』、特に『不思議の国のアリス』だけでも読んでおくと、今後、他の作品を読んだときに、「あれ?これって…!」と、“にやり”とができたり設定理解が深まったりするかと思います!
もちろん、今回ご紹介した『鏡の国のアリス』もまた、物語として素晴らしいながら非常に読みやすいので、「これから読書をしていきたいなぁ。。」という読書初心者の方へはオススメの作品です!
ぜひ皆さんも、アリスと一緒に不思議な世界の冒険を堪能してみてくださいね!
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